最近話題の「プロセスエコノミー」、完成品ではなく制作過程を販売するという概念は、まさに私が先日発売したワークブックの制作過程そのものでした。
プロセスエコノミーが仕事関係者と話題になったり、受講生からも質問が増えたりしているのでわかりやすく解説します。
今回は、3本のうちの1本目です。ぜひ順番にご覧ください。
1. 【3分でわかる】プロセスエコノミーとは?オンラインサロンの専門家・中里桃子が解説(本記事)
2. プロセスエコノミーを実践者の視点でオンラインサロンの専門家・中里桃子がレポート
3. プロセスエコノミーを実践するためのポイント【企業編、個人編】
目次
「プロセスエコノミー」とは?
プロセスエコノミーとは、”商品や作品を作って売る”という完成形を販売するのではなく、その制作過程(メイキング)を、お客様にストーリーとして共有することや、応援してもらうことで利益を得るビジネスモデルのことです。クラウドファンディングやオンラインサロン、AKB商法などもここにカテゴライズされます。
プロセスエコノミーという言葉を初めて耳にする方もいらしゃるかと思います。これは、2020年12月にけんすうさんが作られた造語で、従来の商品やサービスなどの販売を「アウトプットエコノミー」とし、その逆の概念と定義しています。
その考え方は多くの賛同を得て、7月29日には書籍も出版されました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4344038339/
私がプロセスエコノミーを解説する理由
私はオンラインサロンやコミュニティ運営の専門家として、先日、コミュニティを作りたい人が想いをカタチにするためのワークブックを、クラウドファンディングで作りました。
このワークブックの制作過程が、まさに「プロセスエコノミー」だったんです。だから、けんすうさんの記事を読み、とても共感しました。
少しだけお話すると、ワークブックを制作する過程では、私が「教えることの限界」を感じて、落ち込んでいるという感情をメルマガで公開しています。そして、その落ち込みから立ち直って新しい商品を作る、だからそれに力を貸していただきたいと、50人の制作チームを募り、私の想いに賛同し、お金を払って参加いただいたメンバーと共に制作を進めたのです。
とても素晴らしい商品が完成し、それを手にした方々から、「どうやって進めたの?」と質問攻めにあいました。
そのとき、これからは間違いなくプロセスエコノミーの時代が来るなと、確信したのです。
この体験談は、2記事目で詳しく書いていきますね。
プロセスエコノミーの身近な事例
プロセスエコノミーの身近な例としてどんなものがあるのか、紹介しますね。
1)クラウドファンディング
2)オンラインサロン
3)AKB商法
1)クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数から資金を調達することです。大きく分けて購入型・寄付型・投資型という3つの種類があります。特によく見かけるのは「この商品を作るので応援してください」という形で事前に予約をしてもらうことで、商品制作の費用を賄う購入型です。
日本では2011年にREADYFORがプラットフォームを開設したことで徐々に広がりました。クラウドファンディングを行うことで、開発資金のみならず、開発段階からファンを作ることができるので広く普及しています。
2)オンラインサロン
主にインターネットを通じて、有料会員限定で情報提供や交流するサービスです。10年ほど前からブロガーを中心に広まり、堀江貴文さんや西野亮廣さんが会員数を大きく伸ばしたことで注目され、一般にも広まってきています。本田健さんや落合陽一さんのオンラインサロンも人気です。
オンラインサロンでは、事業開発(堀江さんの宇宙ロケット開発)や、映画や本の制作(西野さんの『えんとつ町のプペル』)の作る過程を公開することで活動資金を調達し、会員は一般公開されていない情報を得ることができます。
3)AKB商法
AKB商法とは、アイドルグループのAKB48から始まったといわれている、CDや関連商品の販売手法のことです。AKB48のメンバーを選抜する”総選挙”のための投票券と紐付けて、CDや関連商品を販売することで、自分の推薦するアイドルを応援するためなら、同じCDを何枚も購入しよう、と購買意欲を刺激するのです。
ファンからすると、選抜プロセスに自分も参加しているという感覚になり、アイドルの成長や活躍に貢献しているという満足感を得られます。
いずれにも共通するのは、「自分が共感して応援したいと思った対象に、お金を払ってプロセスから関わることができる」というものです。
プロセスエコノミーの逆は、アウトプットエコノミー
プロセスエコノミーを理解するために、逆の概念であるアウトプットエコノミーにも触れておきます。
アウトプット・エコノミーは、「プロセスでは課金せずに、アウトプットで課金する」というものです。
例えば、
- 作家が完成した作品を販売する
- 音楽家が完成した音楽をCDで販売する
- レストランで完成した料理を提供する
などです。
これは、皆さんもよく知る一般的なビジネスですよね。私の講座で私が体現してきたノウハウを生徒さんに教えてきたのも同じことです。
しかし、このアウトプットエコノミー(完成したものを売る)という形は、みんなが、販売数を増やすために、より良いものを作る。
さらに次はもっと良いものをと、みんなが頑張り続けるため、どんどん品質がよくなって、品質での差別化が難しくなっているんです。
そこで差別化できるものが「プロセス」だ、という考えが注目された訳です。
いかがでしたでしょうか?プロセスエコノミーの理解が少しでも深まれば、幸いです。もっと詳しく知りたいという方は、ぜひ、下記も参考にされてください。
プロセスエコノミーの理解に役立つ本などの紹介
プロセスエコノミー 尾原和啓・著
https://www.amazon.co.jp/dp/4344038339/
フューチャリストの尾原さんが、2021年7月末に刊行した新刊です。「プロセスエコノミーがきそうな予感です」というけんすうさんの記事が出てから半年足らずで出版されていて、流石のスピードだと感心しています。
この本の担当編集者は箕輪厚介さんで、箕輪編集室というオンラインサロンを運営されています。尾原さんもオンラインサロンオーナーであり、お二人のサロンでは編集会議の様子も配信されていたりと、まさにプロセスエコノミーの実践者であるからこそこのスピード感で本が出来上がったのだと思います。
出版に向けてのプロモーションも、サロンメンバーを巻き込みながらライブ配信や対談を積極的に行われています。こちらの2つの対談が参考になるでしょう。
尾原さんと箕輪さんの対談
https://www.youtube.com/watch?v=ZOhboFQq4-I&t=40s
箕輪さんの解説Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=TIa_gxwBXrs&t=4s
革命のファンファーレ
https://www.amazon.co.jp/dp/4344031555/mahou-22
クラウドファンディングが「怪しい」「詐欺だ」と言われていた頃に1億円を資金調達した、日本最大のオンラインサロンを運営する西野亮廣さんの本。2017年に出版されていますが、プロセスエコノミーという言葉が生まれた2021年に読んでみると、その先見の明に驚愕するとともに、きっとプロセスエコノミーもそう遠くないうちにもっと広がってゆくだろうと思います。
ご興味のある方は、ぜひ、こちらもご覧ください。
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