プロセスエコノミーを実践するためのポイント【企業編、個人編】

中里桃子の記事
中里桃子の記事

「プロセスエコノミー」について理解が深まったところで、皆さんのビジネスに活かしていくためのポイントを解説します。

今回は、3本のうちの3本目です。ぜひ順番にご覧ください。

1. 【3分でわかる】プロセスエコノミーとは?オンラインサロンの専門家・中里桃子が解説

2. プロセスエコノミーを実践者の視点でオンラインサロンの専門家・中里桃子がレポート

3. プロセスエコノミーを実践するためのポイント【企業と編、個人編】(本記事)

 

目次

プロセスエコノミーを実践するときに大切にすべきこと3つ

 たくさんのオンラインサロンの運営をサポートしてきたこと、そして自分自身がいくつかのプロセスエコノミーを経験してきたことを踏まえて、プロセスエコノミーを実践するときに大切にするべきことをまとめました。

 前提として、勘違いしてはいけないことは、「お金を貰いながら手伝ってもらえてラッキー」という、労働力が獲得できるという考えを持つことです。プロセスエコノミーは、そんなに甘いものではありません。

真剣な気持ちで、「一緒に作ろう」とか「プロセスを一緒に体験しましょう」と呼びかけるなら、賛同者を受け入れ、賛同者が創意工夫をする余白を持ち、一緒に検討する過程を楽しむ覚悟が必要です。

 

ポイント1 応援される理由を作ること

 ただ、何かの制作過程を見せるだけでは、お客様はどこに共感し、何を応援すればいいのかわかりません。しかも、一つ一つの過程はきっと地味ですよね。その地味な作業や工程が、ゴールに対して、あるいは主催者のあなたにとってどんな意味のある作業なのかを、わかりやすく伝える必要があります。

 そして、応援されるためには、目指しているビジョンを語りましょう。ビジョンの作り方については、私の本『オンラインサロンのつくりかた』にも記載しています。賛同してお金を払ってくれた人が、お客様として「待ち」の状態になることなく、一緒に動いてくれるかどうかは、このビジョンにかかっていると言っても過言ではありません。

ポイント2 プロセスをストーリーとして魅せること

 こちらも重要です。制作過程や作業風景を動画で見せるだけ、ミーティングの録画を見せるだけ、ではいけません。これは、私のワークブック制作からの反省でもあるのですが、プロセスエコノミーに賛同してお金を払ってくれた人は、多くの場合本業をお持ちの忙しい人たちです。

だから、その人たちに、プロセスを楽しんでもらえるように、情報を整理して、ストーリーの今どのあたりにいるのか、賛同者の意見を募ったり、作業に参加できそうなことがあれば、タイムリーに発信していきましょう。その際、現在地を全体像と共に伝えるということ忘れないようにします。

 

ポイント3 失敗を見せる勇気とプロセスに参加してもらう余白

 ストーリーの項目で書いても良かったのですが、ストーリーとして魅力的になるためには、完成したうまくいっていることだけを見せても面白くありませんよね。ストーリーはアップダウンがあって、成功と失敗のコントラストがあるから面白いのです。そのためには、裏側(特に失敗)を見せる勇気が必要です。

 このあたりが天才的に上手なのが、西野亮廣さんです。西野さんは毎日、オンラインサロンに数千文字のコラムを書いています。そのコラムの一つ一つがストーリーになっていて、失敗談や個人的な話など、西野さんの想いが伝わるとても魅力的なストーリーなのです。

 失敗を見せたり、困っていることを正直に自己開示するから「それならこういう事をやってみましょうか?」とアイディアをもらえたり、手を差し伸べてもらえます。この、プロセスに参加してもらう余白を持っておく事が、プロセスエコノミーの肝だと思います。

 お気づきかもしれませんが、ポイント1〜3は単体で成り立つものではありません。
人に関わってもらう余白が生まれるには、提示されるビジョンが現在地からは遠く大きなもので、「プロジェクトオーナーだけではきっと難しいだろう」と思えないと、応援してもらえません。オーナーだけで問題なくスイスイ進めるなら「自分の力は必要とされていないな」と思われてしまいます。

だからこそ、失敗を見せる勇気が必要であり、失敗こそがストーリーを魅力的にするのです。そして、手を差し伸べてもらったら、それを感謝して受け取る謙虚さ、余白が必要だという事です。

 

企業がプロセスエコノミーを実践するときの余白のさじ加減

 個人がプロセスエコノミーを実施する場合と、企業がプロセスエコノミーを実施する場合に、私はそれほど大きな違いは無いと考えます。前述の3つのポイントは変わりません。

 ただし、余白については企業ですと、コンプライアンスや品質の基準というものがあるので、何でもユーザーに委ねたらいいかというとそうではありませんよね。そういう意味では、個人のほうが事業の根幹に関わるような大胆なことがしやすく、企業の規模が大きくなればなるほど、ファン作りに近いイベント的なものになるのかもしれません。

例えば、食品業界では消費者からの人気投票を元に、1位の味(フレーバー)を商品化する動きがあります。消費者は、プロセスを共有されそこに関わることで「自分が投票してできた商品だ」という唯一無二感が出てきます。

良い例が、「きのこの山たけのこの里 国民大調査」。どちらが好き?というシンプルな調査ですが、それをメーカーが全国規模で実施し、実に30万人以上の方が回答しているのです。また、そのプロセスや分析結果をウェブサイトにコンテンツとしてまとめ、読み物としても面白いのです。

きのこの山たけのこの里 国民大調査
https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/kinotake/cmp/daichosa2020/

 

個人・中里桃子の余白だらけのプロセスエコノミー実践例

 私のような一般人がプロセスエコノミーを実施した場合、特に2020年10月から半年かけて制作した、コミュニティをつくりたい人の想いをカタチにするワークブックの制作には、読者の皆さんに大いに口出ししてもらう余白が満載でした。

2本目の記事でもお伝えしたように、私が「教えることに限界を感じています」と配信したことがきっかけでした。だから、ワークブック制作に賛同してくれた人にかなりの部分を助けてもらい、結果として私一人が奮闘するよりも遥かに良いものが完成しました。

でもこれが、巨匠やすごいクリエイターの制作風景を見せてもらう、という形のプロセスエコノミーなら、誰も制作過程に口を出そうなんて恐れ多くて萎縮してしまうのではないでしょうか。

例えば、チームラボの猪子さんがプロデュースの過程で葛藤し、チームとぶつかり、苦悩する姿などは、もし少しでも見せてもらえてたら、ファン心理は満たされるでしょう。でも、そこに自分が口を出してより良いものが作れそうだ、とは考えにくいですよね。

これが、余白のさじ加減なんです。「賛同者がオーナーと一緒にプロセスを楽しめる」これがプロセスエコノミーの醍醐味でもあります。

 

プロセスエコノミーを実践してゆくときのおすすめ本

 プロセスエコノミー実践についてのポイントを解説してきました。いくつかの要素がありますが、それぞれ実践するのは簡単ではありません。理解するのにおすすめの本を紹介します。

ストーリーについて

ナラティブカンパニー

https://www.amazon.co.jp/dp/4492558004/mahou-22

 「ナラティブ=物語る」ことについて、アベノマスクなど近年の事例や、世界的に活躍する片付けコンサルタントのこんまりさんの事例など、ストーリーを用いて「共体験価値」という言葉を用いて解説しています。企業の事例が豊富なので、企業でプロセスエコノミーを実践したいと考える人におすすめです。

 

ストーリーとしての競争戦略

https://www.amazon.co.jp/dp/4492532706/mahou-22

 「優れた戦略とは思わず人に話たくなるようなストーリーだ」とはまさにそれで、プロセスエコノミーも、思わず人に話したくなるような、面白いエピソードや面白いと思える人、であることが重要だと感じます。つい、自分が応援している人ってそういう人ですよね。こちらも企業の事例が豊富です。

 

応援される余白について

プロデュース能力

https://www.amazon.co.jp/dp/4820717332/mahou-22

 ビジョンを語り、周りを巻き込んでゆくための手法がストーリー形式で書かれています。余白とは何か、どのようにひとを巻き込んでゆけるか?がありありとイメージできます。会社員時代からこの語りかたを活用して、コミュニティを作ってきした。地位や肩書きがなくても応援されるストーリーが作れると思える一冊です。

 

ファンベースな人たち

 

https://www.amazon.co.jp/dp/4296107690/mahou-22

こちらも企業の実例が豊富です。どのような情報開示とコミュニケーションが行われているのか、ということについて10社の事例が詳しく紹介されています。

Amazonより
さとなおが提唱するファンベースとは、「自社のサービスやブランドを愛してくれるファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売り上げや事業価値を高める」考え方。ともすれば、顧客を囲い込む、無理に増やすといった発想に陥りがちな「ファンマーケティング」や「コミュニティービジネス」とは一線を画すものです。

 

いかがでしたでしょうか?プロセスエコノミーについて、私の実体験からご紹介させていただきました。

いろいろな参考図書をご紹介しましたが、まずは難しく考えずに「やってみる」のをおすすめします。あなたが大切にしていることに挑戦する様子は、だれかが必ず見てくれています。

8月のどこかで、私が経験したプロセスエコノミーの体験シェア会を開催しようと思います。募集はこちらのメールマガジンでご案内しますので、ご興味のある方はこちらからご登録ください。

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https://www.reservestock.jp/subscribe/70664

 

ご興味のある方は、ぜひ、こちらもご覧ください。

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「私は照らす光を持っている」という確信と、
「私にはその一隅を照らす責任がある」という
自覚を持つことが人を強くする”

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